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デイジー教科書勉強会2 デジタル教科書の有効性を具体的に学ぶ

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参議院議員会館で行われた勉強会

「障害のある児童生徒にアクセシブルなデジタル教科書を」参加体験の続きです。

 

デイジー教科書 勉強会のテーマ

 

勉強会のタイトルを要約すると、次のような内容が主なテーマになるようです。

 

「障害のある児童生徒にアクセシブルなデジタル教科書を」

学習障害によって紙の教科書で学べない子ども達に、アクセスしやすいデジタル教科書を作ろう。

 

マラケシュ条約と著作物にアクセスする権利の国際動向に関する勉強会」

→「マラケシュ条約『紙の本を読めない人にデジタル等で著作物を届けるために、著作権の例外を認める』という国際条約について勉強しよう。」

 

デイジー教科書の有効性 「これなら勉強できる!」

 

まずはサンプル映像です。


DAISY Research_Center 他にもこちらに多数のサンプルが配信されています。

 

 

LITALICO発達ナビ

こちらのページも、実際に利用した人の感想としてとても参考になりました。

利用の手順や学校とのやりとりも載っていて、とても親切な内容です。

 

 

製作者はボランティアで、負担が多く安定供給が難しい

 

負担もさることながら、教科書の完成から4月の提供を目指しても、期間が短くて間に合わないそうです。

子ども達は4月の授業スタートから使いたい、製作者も提供したい。

そこをつなぐ体制作りは国行政の仕事ですね。

 

親御さんの負担については前記事を読んでみてください。

「デイジー教科書勉強会 行政主導でまずは予算を」

  

 

教科書を提供する責任は国にある

 

紙の教科書しかなかった時代と違うんだから、

「繊維と糊を平らに乾燥させた物体にインクを載せたもの」を届ければ良いわけでもなく。

届ける責任があるのは「情報」ですよね。

 

 

 

デイジー教科書も、無償給与である「教科用特定図書等」に位置付けてほしい

 

学習障害で困っている子ども達に確実に届けるシステムを整えるには、デジタル教科書の法的な位置づけを変える必要があるんですね。

法律で保障することが本当に大切だと思います。

字を大きくした教科書や、点字の教科書は「教科用特定図書等」になっていて、給与を保障されているそうです。

字を大きくした教科書や点字の教科書が合理的に必要とされて給与が保障されているのであれば、デジタル教科書(デイジー教科書)も同じように定義する必要があると思います。

 

 

デイジー教科書を利用できていない子どもが多数いる

 

勉強会資料によると、デイジー教科書の普及が急増しているようです。

 

デイジー教科書 利用者数
2015年 3408人

2016年 4769人

2017年 8093人

 

けれど、学習困難4.5%・読み書き困難2.4%(H24文科省)から考えると、潜在的需要は50万人にのぼるのでは、とのことでした。

困難を持っていて、デイジー教科書によって負担が大きく軽減するのに、アクセスできていないという現状があるんですね。

 

デイジー教科書にアクセスできない子ども達

・困難に気付いていない(本人の努力不足と見られている)

・気付いていても、デイジー教科書を知らない

・デイジー教科書を知っていても、学校で利用できない

 

子ども達の学習環境のために、一つ一つ解決すべき問題があります。

 

 

デイジー教科書を必要とする、すべての児童生徒に無償給与してほしい

 

給与って、「支給」「配布」の意味で使うんですね。

今でもデイジー教科書は無料で利用できますが、それは自分からアクセスした場合のみ。アクセスできなければ「給与」されません。

親が自分で調べない限り、デイジー教科書を知る機会はなかなかありません。

確実に届けられる体制を、ということですね。

 

 

それらは 国の責務として、費用負担して行ってほしい

 

なぜ、これだけのシステムをボランティアで維持させようとするのか、理解に苦しみます。

 

子「お父さん、生活費をもっと入れて。給食費も払えないよ。」

父「お母さんのやりくりがヘタだからだろう。無駄を削れ。」

母「お父さん、3万円じゃ生活していけない。これ以上削れるところなんて無いの。あちこちにお父さんの名前で寄付してるけど、そのうちのちょっとだけでも生活費に入れて。」

父「そんな恥さらしなことできるか」

子「お母さん、お腹すいたよ・・・」

 

あ、気が滅入ってきたな。

 

 

発行会社がデイジー教科書を製作できない場合は、他の団体が「国からの委託で」製作できるよう体制を

 

・データを持っている発行会社がデイジー教科書を作るのが最も効率が良い。

・これまで培ったノウハウの提供は惜しまないから、発行会社主体のデイジー教科書作りの体制をまずは目指してほしい。

・それができない場合は、作成の責任は国にあるという前提のもと、他の団体に委託できるようにしてほしい。

 

ボランティアにただ働きさせて、文科省は協力しますよ!じゃダメなんだよな。

 

デジタル教科書普及には、国際的な動きの影響も


マラケシュ条約という、紙の本以外の著作物提供をすすめる動きと、そのために著作権を例外を認めようという国際的な動きが関係しているみたいです。

次回は、この背景についてまとめてみたいと思います。

 

記事の続き 「デイジー教科書勉強会3 国際的な動きについて」