デイジー教科書勉強会3 国際的な動きについて
2018年6月15日 学習障害のある子供向けデジタル教科書(デイジー教科書)の勉強会を見学しました。
デイジー教科書勉強会についてのまとめ3回目です。
デイジー教科書勉強会1 行政主導でまずは予算を - Educational Buffet!
デイジー教科書勉強会2 デジタル教科書の有効性を具体的に学ぶ - Educational Buffet!
デジタル教科書普及へ、国際的な動きの影響も
前回の終わりに書いたように、
デジタル教科書の背景にはマラケシュ条約というのが影響しているそうです。
□紙の本以外の著作物提供をすすめよう
□そのために著作権の例外を認めよう
勉強会では、デジタル書籍のおかれた状況についてを、国際動向の視点から報告していました。
デジタル教科書をめぐる動き
要約というか、メモを書き起こしてみました。
□2013年マラケシュ条約
→著作権の一部制限によって、法で定められた団体が著作物を「アクセス可能な様式」変え国際的に共同利用することを認める条約
日本の動き
□日本では2500万人以上(5分の1!)がマラケシュ条約の受益者に。
□2018年3月30日第4次障害者基本計画が閣議決定した
□第4次は権利条約との整合性を意識している
□2020年日本は国連障害者権利委員会の審査を受ける
□情報アクセシビリティ(アクセスしやすさ)政策について日本は国際的に見て遅れている
欧米の動き
□欧米のアクセシビリティはKindleやOS やアマゾンechoなどを、政策が後押ししている
□アメリカのリハビリテーション法で、ICU の調達は政府がその義務を負う
□そうなると企業も意識して開発する(確実な需要だもんね)
□公共調達と規格基準の両輪で情報アクセシビリティを進めている
国際標準規格について
□WIPO(ワイポ)が世界で推進する、Epub アクセシビリティの規格をのせていく
□国際標準があれば出版社が自ら制作できるようになる。導入しやすくなる
□出版社が紙媒体以外の方法で著作物の制作販売をすれば、これまで著作物にアクセスできなかった人にも著作物を提供できるようになる
□これまで学べなかった子ども達が学べる読めるようになれば、将来の読者が増える
□著者にとってはニーズが増えることになる
□新たな市場を開拓することになる!win win!
新たな市場を開拓する!Win Win!
無理な介入や税投入せずに、市場の原理を利用するのが一番。
これまでに無いサービスで人の可能性を広げ、提供者も利益を上げる、税収入にもなる。
出版社の皆さん、出版不況と言われる今こそ、これまで著作物に直接アクセスできなかった人たちへ著作物を届けて、ニーズを掘り起こし将来の顧客を育て、たっぷり儲けてたっぷりボーナス出してたっぷり納税してください!
政治を専門にする皆さん、デイジー教科書は、かなり回収率の高い投資です。ここに税金を集中投下して企業の納税だけでなく、将来の納税額もアップさせてください!
伝わるキーワードで誤解や混乱を避けよう
今回、説明を聞きながら「アクセシブル?」「アクセシビリティ?」とわからなくて、ずっと理解が欠けたまま聞くことになりました。
〇アクセシブル
〇アクセスしやすさ
〇アクセスする権利
どれも感覚的に理解しにくいですが「つながりやすさ」「接続しやすさ」という言葉が近いイメージしやすいのかなー。
もうちょっとイメージしやすい言葉が入ると良いですね。
次回は、デイジー教科書やiPadが教室で使えない事の困りごとについてです。
勉強会でも取り上げられていましたが、実際にうちもその壁に当たっているので、最終回はこの問題をまとめたいと思います。
最終回 「デイジー教科書勉強会4 教室利用と評価の壁」