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性差別をどう伝える?④ それはジェンダーハラスメントです

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キツイ言葉をグサッと言われたり、後からじわじわと心が病むような言葉をかけられたりすると、いつまでもモヤモヤ悩んでしまいますよね。

悪意からなのか、それともこちらの考えすぎなのか?

 

私は反射的に反応できないので、その言葉に怒るべきか、流すべきか、それさえも一人になってから悩むことも多いです。

相手に理解を求めつつ、傷つける行為をやめてもらうには、実際にどう対応すれば良いんでしょう。

 前回記事「性差別をどう伝える?」

①社会的カテゴリーの上に築かれたアイデンティティはもろい 

②湧き上がる違和感と向き合おう

③ LGBTQ+70億のカテゴリー

 

ハラスメントには「不本意なカテゴライズ」で対抗するのが効果的?

 

以前、友だちとランチの席でハラスメントの話になり、印象的だったのが、「パワハラって言葉が浸透したおかげで、注意しやすくなった」という言葉。

 

「相手が傷つくから、嫌がるからって言っても納得しない人にも、

”それ以上やるとパワハラになっちゃうよ”

と言えるようになり、実際それでやめるようになってきた。」

というもの。

 

つまり、そのハラッサーは

  • 「相手が傷つく、嫌がる」という事を理解、納得はしていない。
  • 加害意識は無い。
  • だけど「パワハラだ」とカテゴライズされる事は嫌。

 

ってことじゃないかと思います。

 

相手への配慮ではなく、「パワハラですよ」と言われるのが嫌でハラスメントをやめているんです。

 

 

カテゴリーに分類することで生まれる「相手への無理解」

 

以前書いた「読解コミュ力」と「暗記コミュ力」に書きましたが

 

「暗記力に基づくコミュニケーション能力」をする人の特徴

  • 「理解」を伴わない
  • 相手をカテゴライズする。(人種・年齢・性別・地位など)
  • カテゴリーに合わせてフレームを当てはめる
  • フレーム通りの対応をする

 

つまり、「相手が傷つく、嫌がる」という内面への理解は伴わない。

相手(自分も含め)をカテゴライズする。

不本意なカテゴリーに分類されることには敏感になる、

 

という事じゃないかと思います。

 

相手を理解する、思いやるという能力が欠如しているのだから、ハラスメントをやめさせるには「不本意なカテゴリーを当てはめる」ことが有効。

 

だから世の中には、あれだけの種類のハラスメントが増えている。

「セクハラ」「パワハラ」「モラハラ」「マタハラ」・・・。

カテゴリーだけで生きている人向けに、わかりやすくアレンジして提供しているわけです。

 

 

それは性差別ではないという認知

 

最近、性差別について意見交換する機会がありました。

ところが、そもそもの認識がずれてしまって、意見交換にならないんですよね。

 

私は、「性別を理由に他人が個人のあり方を規定するべきじゃない」と考えています。

人を傷つけない限り、お互いのあり方、生き方を尊重しあうこと。

 

自分が性差別をされて嫌な思いをしてきたし、女性というだけで不利益を被る社会を子どもたちに残したくないから。

生物学的な性別と、社会的にあとから作られた性別(ジェンダー)は違うので、ジェンダーについては後世に残って欲しくない習慣だと思っています。

 

 

だけど性別による役割分担は、男女とも「嫌がらせじゃない」と思っている人も多く、当たり前に受け止められています。

「生物学的な性別」と「社会的な性別」の区別もしていないようで、性差別になっているという自覚がなかなか持てません。

 

「男が泣くな」

「男は女の子に荷物を持たせない」

「男の子は女の子に親切に」

「女の子を泣かすな」

「女の子だから丁寧な言葉遣いを」

というのは思いやりなのだから良いじゃないか。

 

 

「女性など力の弱い人でも」

「女の子なのに力が強い」

という表現が、女性が劣っているというわけではないし、考えすぎ。

 

こういった性別による行動の抑制に対して疑問を口にすると、「考えすぎ」「騒ぎすぎ」「何がいけない」という反応があって平行線になるんですよね。

 

「相手が嫌がっている」という事に対して、「考えすぎ」「騒ぎすぎ」で片づけるなんてどうかしています。

だけどカテゴリーだけで生きている人にとっては「相手を理解する」という事が、本当にできないんだと思います。

 

 

ジェンダーハラスメントという言葉もあるんだって

 

最近知りましたが、「ジェンダーハラスメント」って言葉まであるらしいです。

これも相手を理解しない人向けに、「カテゴリーをわかりやすくアレンジして提供」した結果でしょう。

 

セクシャルハラスメントは性的嫌がらせ。

 

性的な表現は含まなくても「性別による役割分担を押し付ける行為」をジェンダーハラスメントと言うんだそう。

 

これは男女に関わらず、それぞれが社会的に負わされている性別によるプレッシャー全般を指すようです。

 

 

「それはジェンダーハラスメントです」

 

ジェンダーは社会的に作られた性別で、生物学的な性別とは区別されます。

時代や土地によって変わるものです。普遍的なものじゃありません。

 

繰り返しになりますが、私は社会的な性別による役割分担を否定します。いい加減にしろと思ってる。

それに対しては、理解してくれる人もいるし、別の意見を持つ人もいる。それでOKだと思います。

 

だけど「辛いからやめて」と言っている人に対して、「考えすぎ」「騒ぎすぎ」でやめようとしない。

「嫌だからやめて」と言っている人に対して、その行為をやめない。

それはOKじゃない。

 

「性別で役割を押し付けないで」と言っても聞いてもらえない場合、その人は理解する力が無いものと思って、不本意なカテゴリーを当てはめましょう。

 

「それはジェンダーハラスメントです」

ジェンダーハラスメントって言われちゃいますよ」

 

あとは何の説明もいらないでしょう。

彼らにとって重要なのは、理解ではなく「どのカテゴリーに分類されるか」なのですから。

 

 

ハラッサーのハラスメント被害を回避しよう!

 

子どもたちに伝えている対処法です。

 

(前提)

周りにわかりにくいハラスメントをする人は、話していて楽しい、周りに好かれている人もいる!

だから被害を周りに伝えても、信じてもらえないことがある!

そのため周りに伝えるときは、証拠があると良い。

ハラスメントをする人は、相手が嫌がっても絶対にやめようとしない。

NOと言われると、やめない理由をあれこれ言ってくる。非難もしてくる。

それをまともに聞いてはいけない。

場合によって「〇〇ハラスメント」などのカテゴリーをちらつかせてけん制する。

コミュニケーションは成立しない。自分を守るために、離れること。

 

(具体的な対応)

嫌な気持ちになる言動をされたら、「それは嫌」「それはやめて」という気持ちをまず伝える。

そこでやめてくれれば、大丈夫。

それでもやめてくれない、あれこれ理由をつけて続ける、という場合。それはハラスメント。

やりとりをするときは、メールで証拠を残すと良い。

メールのやりとりでも心を攻撃されるので、大人にそばについていてもらおう。

ハラスメントをする人は、あなたの気持ちを考えたりはしない。

すぐに離れよう。

嫌な気持ちが残るけれど、悪いのはあなたではない。

ハラッサーの言葉は支配の道具。離れてからも心を支配されるのはやめよう。

離れる決断をした自分を誇りに思おう。あなたは強い。