性差別をどう伝える?② 湧き上がる違和感と向き合おう
こんにちは。ちりです。
「性差別をどう伝える?① 社会的カテゴリーの上に築かれたアイデンティティはもろい」の続きです。
- 差別について、子ども達と話してみた
- 男性が日傘やアームカバーをしたら変?本当に?
- 当たり前は変わっていく 常識は嘘と思え
- 小さな違和感を、他人に投げ捨てない
- 違和感を持たせた相手を攻撃したがる自分、を自覚する
- 危ない怖いの違和感からは全力で逃げること
- 何度もくり返し伝えること
前記事まとめ
- 性差別は男女の対立軸ではない
- 差別とは、一方的に相手をカテゴリーに当てはめて、特定の行動を要求すること
- ハラスメントあるある1-拒否されてもハラスメントを認めず、自分を受け入れない相手を非難する
- ハラスメントあるある2-「差別をやめて」という要請に「考えの押し付けはやめて」という
- カテゴリーの上にアイデンティティを築いている人にとって、「差別するな」はアイデンティティの危機。
- 時代の変化が加速しているのに、今の常識の上に成り立つカテゴリーに依存して大丈夫?
差別について、子ども達と話してみた
皆に聞いていい?
「女の子なのに、力が強いね。」って言われると嬉しい?
三女 いやだ。「力が強いね」は嬉しいけど、「女の子なのには」いや。
次女 私も。「女の子なのに」はいらない。
じゃあさ、自分が持っている荷物を、誰かが持っていったら?
自分で持てる荷物なんだけど、相手は「力の弱い女の子だから荷物を持ってあげる」って親切な気持ちからなの。嬉しい?
三女 いやだ。嬉しくない。
次女 女だからって関係ないよ。
そうだね。ママも同じ気持ちになると思う。
みんなさ、昔は女の人が差別されていたこと知っている?
次女 うん。知ってる。相撲は今も差別してるんだよ。
実は今も女性への差別は残っているんだ。日本では特に。
女の人だけじゃないんだよ。男の人も差別されているの。
「泣くな」「弱音を吐くな」「強くなきゃダメ」って。
そうやって「男だから」「女だから」って誰かの生き方を、周りの人が決めていいのかな?
次女 ダメだと思う。自分で決めればいい。
男性が日傘やアームカバーをしたら変?本当に?
例えばさ、男の人が日傘をさしたらおかしい?
三女 変。女の人みたい。
じゃあ、アームカバーは?
次女 男の人がやると変。
どうして?男の人の皮膚は、女の人の皮膚より丈夫だから?
ううん。
肌の弱い男の人はいない?
三女 いる。
肌の弱い男の人が、アームカバーや日傘を使えたら助かるね。
うん。
なのに「男だから」って使えなくてもいいのかな?
うーん。
その人が使いたくても、周りから変な目で見られるから使えない。
自分でも、「男だから変」って思って使えない。
それでもいいと思う?
次女 思わない。
じゃあさ、もし町を歩いてて、日傘をさしている男の人を見かけたらどう思う?
三女 なんか変。びっくりする。
町を歩く半分の男の人が日傘を使い始めたら?びっくりする?
次女 うーん。
たとえば今年の夏、男の人でも日傘をさすのがブームになったら?男も女もみーんな日傘をさしてるの。
次女 そしたら変だと思わない。
そっかー。実はね、ちょうど昨日ニュースで見かけたんだけど、最近は日傘を使う男の人が増えてきているみたいだよ。
三女 ふーん。
「日傘は女の人が使うもの」っていう常識もこれから変わってくるんじゃないかな。
当たり前は変わっていく 常識は嘘と思え
そうやって、当たり前だと思っていること「常識」っていうんだけど、常識はどんどん変わっていくんだよね。
それぐらい「常識」はいい加減なものなの。そこはよく知っておいてほしいんだ。
次女 うん。
小さな違和感を、他人に投げ捨てない
でもさ、今の時点では「アームカバーをした男の人」や「日傘をさした男の人」がいたら、「変なの」って気持ちにならない?
三女 なる。
次女 見慣れないから。
そう、見慣れないからだよね。
ところでさ、さっき本屋さんで、ちょっと変わったおじいさんを見かけたの。
長い白髪で、おへその出る短いTシャツ来て、めちゃめちゃ短いホットパンツ履いてるおじいさん。
ホットパンツって太ももの付け根ギリギリまで出てる、すごく短いズボンね。
びっくりしてさ、あわてて別の方を見たの。ジロジロ見るのも悪いし、あんまり見たくないし。
でさ、そのおじいさんを最初に見た時に、違和感があったのね。「おじいさんなのに、ヘソと太もも丸出しにするの?!」って。
次女 うん。
で、この違和感は、どうして自分の気持ちの中に沸き上がったのかな?って考えたの。
どうしてかって、ママが持っている「年配の男性のイメージ」を、あのおじいさんに当てはめようとしていたからだと思ったのね。
自分の持っているイメージを相手に当てはめようとして、だけどうまく当てはまらない。
その小さなイライラが「違和感」になったの。わかるかな?
違和感を持たせた相手を攻撃したがる自分、を自覚する
次女 うん。
(この辺で三女の集中が切れかかる)
で、怖いのはこの「違和感」なんだ。
人間って、「違和感」を持たされると負担を感じて、原因になるものや関わるものを攻撃しはじめるの。
だからお化粧する男の人や、強い意見を言う女の人など、違和感を持たせる存在に容赦なく攻撃できるの。
だからね、皆にお願いしたいことがあります。
聞いてる?いい?
次女 うん。
三女 うん。
本当は、純粋に相手の中身を見ることが理想。違和感を持たないことが。
だけど、こうして普通に過ごしているだけでも、私たちは「女らしさ」「男らしさ」「子どもらしさ」って考えが染みついちゃってる。
ちょっとでもイメージと違うと、相手に違和感、「変だな」って気持ちを持ってしまう。
こういう考え方のクセは、なかなか変えることは難しいと思うの。
だから今、みんなにお願いしたいのは、誰かに「違和感」を持ったあと、どうするか。
なんとなく「変なの」とか「気持ち悪い」とかの違和感、
人間は違和感を持ったら、自分のイメージに合わない人をたたきたくなるの。
相手に原因を求めると、相手を攻撃することが簡単になっちゃうの。
だから、心に違和感を持ったら、「なんでこう感じるのか」をよくよく考えてほしいの。
自分の心をみつめるようにしてほしいんだ。
三女 うん。
危ない怖いの違和感からは全力で逃げること
もちろん、自分の身が危ない、何か怖いって思うような「違和感」は大切にしてね。
それを感じたら、とにかく相手から離れて。
次女 うん。
周りのイメージを裏切る生き方。
ホットパンツのおじいさんは、周りの思い込みを壊してくれる、勇気あるおじいさんなの。
だから、相手を攻撃するんじゃなくて、相手の主張を大切に守っていかなきゃダメなんだ。
もちろん自分の主張もね。
何度もくり返し伝えること
子どもたちとの会話は、実際どれぐらい伝わったのかわかりません。
時々くり返して伝えていくことが大切だと思っています。
「違和感」を大切にしないといけない時もあるし、相手のせいにしてはいけない時もある。
だけど、自分が危害をこうむるわけじゃなければ、その違和感には疑問をもったほうがいいんじゃないかなと、思いました。
次回「性差別をどう伝える?③ LGBTQ+70億のカテゴリー」