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たった一つのサイズの靴・たった一つの教育で「危険な道を歩け!」 外国人移住者の子どもに求められる日本語教育から考える

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今日は、「日本に移住した外国人の子どもへの日本語教育について」

私がこうありたいと尊敬するお父さん、鈴木 学さんののFacebook投稿をご紹介したいと思います。

 

日本語を母語としない子ども達と直接のかかわりが無くても、

「子どもに対して大人はどんな責任を負っているのか」

「子ども達が大人になる頃にどんな社会にしたいのか」

という重要な問いが含まれていると思います。

 

日本に移住した外国人の子どもへの日本語教育について

 

グローバルな視野に立った日本の教育環境への提言

 

鈴木 学さんは世界中の不動産を見て回り、日本と世界を不動産取引で結ぶ、グローバルな不動産ビジネスマンです。

自己紹介(Facebookより)
世界6か国で不動産投資を実践中、2010年7月に「鈴木資産管理」を起業、アジアを中心にグローバルな不動産ビジネスを展開する。東京下町に在住、5ヶ国語を話す、二児の父


Facebookやブログ投稿がとても充実していて、内容がデータに基づいたグローバルな視野で書かれているので気づきも多く、鈴木さんの投稿は必ず読むようになりました。

特に、真摯にお子さんの不登校に対応されていて、ほぼ同時期に対応していた私にとっては、とても心強い存在でした。

この方の視点から学ぶ事は非常に多い。

 

世界中を回って異文化を理解した上で、改めて日本の教育環境を分析して現実的な提言をする。

そこには人への優しい眼差しがあります。

 

 

その鈴木さんが、外国人比率の高い江東区で子育てをする中で必要性を感じた、「日本に移住した外国人の子どもへの日本語教育について」の記事を投稿されていたのでご紹介します。

 

日本語教育基本法は緊急に必要-江東区よりレポート

 

ぜひ全文を読んでいただきたいのですが、ここでも要点をまとめると

 

日本語教育基本法は緊急に必要

関連リンク


 

私が外国人移住者の子どもだったら


もし、私が外国人移住者の子どもで、現状のまま、十分な教育が得られなかったら?

自立できたとしても低所得労働に従事することになってしまうでしょう。

自分を排除をした日本社会へ根深いの反感から、「怒り」を内包して生活することになると思います。

そして依存症や犯罪の加害・被害のリスクが非常に高くなる。

 

※実際は様々な状況があることを、鈴木 学さんから伺うことができたので、下にインタビュー記事として追記しました。

 

 

逆に、十分な支援を受けて日本語ベースでの教育にもアクセスできたとしたら?


就業機会にも恵まれて社会的ネットワークを広く持てる可能性が高まる。

日本社会への信頼、好感を持てる。

社会的影響力を持ったとき、それを日本と自国へ還元させたいと思うのは自然なこと。

 

鈴木 学さんインタビュー 移住前から抱える排除と格差の問題 日本語教育の役割

 

今回、鈴木 学さんから、移住者の子ども達の抱える困難について、さらに詳しく伺うことができました。

そこで、インタビューを対話形式でお伝えします。

 

 

母国と移民先からの二重の排斥

 

鈴木氏:ご紹介ありがとうございます。

 

ちり:ありがとうございます!

 

鈴木氏:私の限られた見聞でいうと、地域の外国籍の子供たちは、日本で満足な教育を受けられず、排除されたと感じている面は確かにありますが、それ以上に、母国でもっと厳しく排除された経験があるようで、

国に帰る位なら、底辺労働でもいいから日本に居たい、と思ってる人が多いようです。

 

たとえばの話、発達障害があって日本語も不自由なのに中国から来日した子がいます。

発達障害の子に対して日本の小中学校の受け入れ態勢は決して恵まれているとは思えないけど、おそらく中国ではもっと居場所がないのだと思います。

 

ちり:なんて厳しい状況・・・。そうなんですね。

 

「先生によるソーシャルワーカー的支援」が必要な背景

 

鈴木氏:リアルで厳しい状況ですよね・・・

あと中国ではおじいちゃんおばあちゃんが子供の世話をすることが多く、お父さんお母さんは子育てせずに終日働くことが多く。

ほぼ子供の養育歴のない状態で、中学生位になった子供を抱えて来日する両親もいます。

 

ちり:うわ・・・それは想像すらしたことない状況です。

先生がソーシャルワーカー的な支援になるのは、そういう背景もあるんですね。

 

鈴木氏:そうですね。教育というよりは福祉の色彩の強い仕事ですね。

 

移住者間の大きな格差と日本語教育の役割

 

鈴木氏:一方で地域には、一般の日本人よりずっと裕福な外国人も相当数いて、子供を英語のインターに通わせたりしてます。

恵まれない外国人子弟と、恵まれた外国人子弟が居るなかで、彼らを日本社会に統合するためにも、日本語教育は大事だと思います。

 

ちり:そんなに格差があるんですね。

そういう背景を知ると、いかに自分が自分の常識だけで考えてるかわかりました。

 

(インタビューおわり)

 

日本語教育は問題解決への第一歩


江東区の移住者の話を伺って、国ごとの事情を背景にした様々な困難があること、

そして文化的・経済的に分断された移住者の同士の関係がわかりました。

この状況で支援をしても、支援が広がりをみせないですね。波及効果が限定される。

 

移住者同士の理解を深めるためにも、共通言語として「日本語」「日本文化」を共有する。

共通言語を用いて、移住者同士、さらには日本人も含めてコミュニティを広げていく。

その土壌ができたとき、テコの原理のように支援が効果的に広がって、大きな効果を上げることができるのではないでしょうか。

 

 

鈴木 学さんのFacebook投稿の最後に「日本語教育基本法がその第一歩」と書かれていました。

まさに日本語教育は、次につなげるための第一歩、土壌作りなのだなと思いました。

 

鈴木 学さん、ありがとうございました。

 

 

子ども達が大人になる頃に、どんな社会にしたいのか


現状のままだったら、移住者の子ども達の人生には様々な弊害が出て、それに対応するために公費が投入されることにもなる。

逆に今、公費を投入して移住者の子ども達の学びを保証すれば、それは必ず私たちの社会に返ってくる。

子どものメリットを追求するのは当然として、結果的に日本社会にとってもメリットになる。

 

今の子ども達が大人になる頃にどんな社会を手渡すか、ここでも「社会のデザイン」が問われているんだと思います。

 

 

子どもに対して、大人はどんな責任を負っているのか


教育を子どもに届けるのは大人の義務。

教育の「型」を届けるのが義務ではなくて、子どもが受け取れる形で「教育」を届ける義務なんですよね。

 

これは移住者の子ども達に限らず、すべての子ども達に対して言えること。

だけど実際は「型」を届けて、どうしても「型」に入らない場合だけ仕方なく別対応になるか、排除される。

その中で「学び」を得られない子ども達が大勢います。

 

私たちは子ども達に、たった一つのサイズの靴・たった一つの教育で「危険な道を歩け」と言っている
日本で育った子どもでさえ、苦しく感じて不登校が続出する学校生活。

まして海外から移住してきた子ども達の苦労は、どれほどのものか。

 

そもそも、問題なく学校教育を受けられる子どもって全体の何%なんでしょうか?

 

登校はしていても、スクールカースト、いじめ、理不尽な校則に悩んだり、順調に過ごしていても集団学習に頑張って合わせているこどももいる。

学校に行けなければ公的支援にアクセスできない。→「不登校の先に目指すもの」

学習障害で理解度を評価してもらえない子どもは、適切な進学ができない。→「教室利用と評価の壁」

これらの背景から、辛くても登校している子供だって多いのではないでしょうか。

 

 

決まった型のたった一つの教育しか提供しないのは、たった一つのサイズの靴を与えて危険な道を歩けと言ってるようなもの。

たまたま靴のサイズがあった子どもだけが、自由に歩き回れる。

 

そういう社会でいいのか?という問題でもあります。

 

 

↓ それぞれに合った靴を履ければ、この光景も変わる。

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